HIPHOPが好きで少なからずトラックというものに興味を持っていると必ずぶつかるサンプリングという言葉。
そして、それを乗り越えると元ネタに興味が湧いてきます。
しかし元ネタはマイナーな曲も多く探すのも一苦労。
そんなサンプリングの基本と最後に元ネタ探しの秀逸アプリを紹介します。
ちなみに私は現在、フリーランスで音響・PAを生業としており。
クラブハウスに仕事として入ることもしばしば、趣味でトラックメイクとDJを10年ほどしていました。
サンプリングとは
主に既存の楽曲から声や音を抜き出すことを言います。
まれに自然音や機械音などをサンプリングとして扱うこともあります。
HIPHOPでは、このサンプリングしたパーツを組み合わせて曲を作ることが作曲手法のひとつとして確立されています。
私はサンプリングにはHIPHOPの成り立ちが深く関わっていると思っています。
それは過去記事「HIPHOPとは」にも書きましたが、曲のノリの良い「ブレイクビーツ」のみを2台のターンテーブル駆使し繰り返す。
この行為がサンプリングの始まりでもあり、この行為の延長線上にサンプリングが存在しているのだと思います。
元ネタ
さて、サンプリングには当たり前ですが、抜き出した声・音のパーツには元となる原曲があります。
その原曲のことを「元ネタ」と言います。
この元ネタ、ほとんどが作曲するアーティストの頭の中に今まで蓄積された曲の数々から出てきます。
なのでとんでもないマイナーな曲だったり、かなり古い曲だったりすることも音多いです。
なので自身が知っている曲であれば、すぐに「あの曲だ!」と気づけますが自分自身が知らない曲だと元ネタが、どの曲なのか知るのは非常に困難です。
著作権
著作権については私は専門家ではないので、語ることができません。
ですが色々調べてみたところ、私のような音響を生業としている者には”サンレコ”「Sound & Recording」であまりに有名な、リットーミュージックさんのウェブサイトがわかりやすく対話形式で解説されていました。参考にどうぞ。
パクリ
「サンプリングはパクリと変わらない」という批判を目にすることがあります。
その線引きも実に曖昧で何をどうすれば「パクリ」で、こうすれば「サンプリング」という定義はありません。
その定義も、あらゆる場面で散々、議論されてきています。
でも私は“私は”一概に「パクリ」と否定できません。
HIPHOPの歴史を知れば知るほどなのですが、その功罪はあるにしろ、すでに”文化”として成り立っていると思っているからです。経済的、環境的に恵まれず楽器を手にすることができないなかで”0”から音楽を創造するのは困難だったはずです。
想像してください。
その当時にファンクやソウルで使われるホーンセクションを編成するのに、どれほどの人、時間、費用が必要だったでしょう。それらを録音するのにどれほど掛かったでしょう。
それがレコード2枚とターンテーブル2台で成立してしまいます。
DJとして既に存在する”1″から曲を造るしかなかったのではないかと思います。
そのHIPHOPが”文化”として醸成していく間に「サンプリング」へと昇華し「サンプリング」を用いて曲を作ることが定着していったと考えています。
少なくとも、そこには尊敬の念や節度は必要だと思いますが…
有名なサンプリング
ここでは少し有名な原曲をサンプリングとして用いた曲を紹介したいと思います。
ジャンルごとに紹介してみます。
ジャズ
ジャズをサンプリングした曲を聴くなら「A Tribe Called Quest」は外せません。
0’21″”~
0’01″~
左が「A Tribe Called Ouest」のBonita Pink、右が元ネタ。
聞き比べてみてください。
上物と呼ばれる「ギター」と「エレキピアノ」の音がサンプリングされています。
ロック
ロックからのサンプリングにはギターのリフなど、わかりやすいパーツは使用されることが少ない印象です。
基本ドラムやベースがサンプリングされることが多い。
0’01″~
0’01″~
左がBeastie Boysの「Rhymin & Stealin」
右が元ネタLed Zeppelinの「When The Levee Breaks」
サンプリングされているのはドラムの音ですね。
このネタは、あらゆる楽曲でサンプリングされています。
いわゆる「大ネタ」というやつです。
R&B
多くの楽曲がソウルやファンク、R&BからサンプリングをしているHIPHOPにおいて、あまりに衝撃的で、あまりに有名な曲。
0’03″~
1’05″~
左がKanye Westの「Through The Wire」
右がChaka Khanの「Through The Fire」
曲題ですら韻を踏んでます。
このピッチ(音程)をいじるだけで、ほぼまんま使ってしまう逆転の発想に当時、度肝を抜かれた覚えています。
ソウル
サンプリングされた数でいうと「ファンクの帝王」と呼ばれる、この方が圧倒的ではないでしょうか
1’08″~
5’36″~
左が Dr. Dre feat. Snoop Dogg, Jewell の「Let Me Ride」
右がファンクの帝王ことJames Brownの「Funky Drummer」
ジェームス・ブラウンの楽曲はあらゆるアーティストからサンプリングされ、その財を成したのは著作権料だったとも言われています。
サンプリング手法・やり方
私も数多の楽曲からサンプリングし曲を作ってきましたが、サンプリングをどう扱うのか。
これが一番の悩みです。
機材をいくつかと、私がサンプルの扱いに悩んだ時に試していた手法をいくつか紹介します。
機材
機材にもいくつかの種類があるのですが、HIPHOPにおいてサンプリングといえばコレ!としか言えない名機です。
MPC2000XL
実際にトラックメイクしています。
この一台で作曲が完了できます。
古い機材なので最新のフラッグシップモデルも▼
音をバラバラに
フレーズをバラバラにしてビートっぽく扱ってみると意外と面白いです。
というか、これが基本なのかもしれません。
ピッチ、テンポを変える
雰囲気が変わって良いです。極端にいじると新たな一面が見えることも。
GATEを入れてみる
設定した音量から上の音量の部分だけ音として出すことができるエフェクターを「ゲート」といいます。
ゲートというだけあって扉のイメージ。
設定音量を越えると音が出る感じ。
その境目を動かすことで変なリズムが生まれたりして面白いです。
音はフレーズの全部が鳴っていないのに元ネタがわかるのも良い。
ハイやローの音をがっつり切ってみる
イコライザーという機材でハイやローの部分を極端にカットしてみます。
すると聞こえていなかった音が強調されたり新たな発見があることも。
ここで紹介したものは恐らく手法の中でも簡易的なものです。
サンプリングの手法に正解はありません。
現在は機材の性能も飛躍的に上がり”やれること”も多岐に渡っています。
やはりサンプリングに大事なのは機材・知識・発想と、それらを扱うセンスです。
さいごに
少しだけ突っ込んだ話もしましたが、「サンプリング」というものをわかっていただけたかなと思います。
文化として醸成されてきたHIPHOPに欠かせない「サンプリング」元ネタを探したり、自分でサンプリングで曲を作ったり楽しんでみてください。
あ、元ネタ探すのに秀逸なアプリ置いときますね▼
WhoSampled
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